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言語・人種・文化の違いには寛容なのに


言語・人種・文化の違いには寛容なのに 「意見の違い」を許せない日本人の不思議

岡田兵吾 [マイクロソフト シンガポール シニアマネジャー]

2014年11月12日

日本人は海外との「言語・人種・文化的な違い」には理解があるにもかかわらず、なぜか外国人の空気を読まない「意見の違い」については許容しない人が多いように見受けられる。

別に彼らは、自己中心的でもその場をかき乱そうとしているわけでもない。

個人の意見の「違い」を尊重することと、日本以外の多くの国にある交渉やディベート文化など、そのあたりも含めて理解を深めていってあげてほしい。

 ふと「交渉」で思い出したが、シンガポールは欧米文化と中華文化が織り交ざる環境のせいで、交渉は日常的に存在する。

 家賃はだいたい交渉で100~300ドルは下げることができるし、クレジットカードの年会費を交渉で支払わないようできることは、シンガポールでは常識だ(ただし、月の使用額が少なすぎると交渉できず、解約案内を受けてしまうから注意が必要だ)。ある友人は毎年カードの年会費引き落としの前にリマインダーをセットして、交渉を絶対に忘れないようにしているそうだ。

 また、昔の同僚はスポーツジムに通い始めた際、「私は普段仕事が忙しく、平日に絶対にジムに行くことができない。だから週末だけ通えるようにしてくれ」と交渉し、存在しない週末パッケージをつくらせた。

クレジットカードの年会費は払わない、スポーツジムは週末コースを作らせる……外国人の交渉能力には驚かされる。

 そうしたケースを初めて知ったときには、彼らの交渉力に驚くと共に、彼らと相対する企業サイドを気の毒に思ったが、シンガポールの企業も最初から交渉の余地を残しているようなので、大丈夫なようだ。

オドロキな文化だが、それが日本とシンガポールとの「違い」なので、生温かく見守ってあげてほしい。


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